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ダヤンさん@『でれでれ草の英語塾』⑱(前) 転載不可

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2016-12-08 お待たせしました。片目のダヤンさんの『でれでれ草の英語塾』の時間です。

でれでれ草様及び読者の皆様:

片目のダヤンです。

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今回は、第18回目。

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この師走(12月)は、フォーサイスの「騙し屋」(THE DECEIVER)を3~4回に分けて、お届けします。

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先ず、この原書の構成は以下の通り。数字は、ページ数で全480頁の作品。

「年越しソバの前にフォーサイス」が今回のキャッチ・コピー。

なお、この著作本―私の記憶が正しければ、角川書店から2~3冊に分けて翻訳出版されたハズ(1990年代前半)。カネ儲けのためでしょう?

Prologue…………………..………….….1
Pride and Extreme Prejudice…….…..15
Interlude……………….……………..…125
The Pride of the Bride………………….131
Interlude…………………………….…..247
A Casualty of War……………….……..253
Interlude…………………………………353
A Little Bit of Sunshine……………….359
Epilogue……………………………….…477

 

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そして、序章の一文がこれまた、フォーサイスらしくてカッコイイ

The Cold War lasted forty years. For the record, the West won it. But not without cost. This book is for those spent so much of their lives in the shadowed places. Those were the days, my friends.

これは私の高校時代に世界史の授業で、その教諭に質問したこと。

「近代以降、世界中で戦禍に巻き込まれた人間の数って、その国の全人口の大体何㌫ぐらいでしょうか?」

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すると、教諭は急に黙り込み、こう語った。

「それは、世界史よりむしろ人口統計学や戦争経済学の範疇に入る問題。この私にも判らない」

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その後、大学生や社会人になって、カール・フォン・クラウゼヴィッツの「戦争論」やガイウス・ユリウス・カエサルの「ガリア戦記」から開高健の「輝ける闇」「ベトナム戦記」まで読み漁ったけど、満足な回答を得ることは出来なかった。

ただ何となく理解したことは、戦争の被災地は間違いなく100㌫「戦禍」を被ること。そして、真逆の論理で相手国はその爆撃地(被災地)から100㌫「戦果」を挙げること。

それで、フォーサイスは米ソの冷戦時代は40年も続き、記録によると西側が勝利したと、指摘している。しかし、その両国の損失・犠牲・代償・経費・費用(すべて、コストの意味)なしでは、成し遂げることが出来なかった。また、この著作は両国の影・暗い部分・日光の当たっていない部分・影法師(すべて、シャドウの意味)の側に居て、生存した方々に捧げることらしい。

本題に入る前にもう一つ。

確かに戦争は悲惨で悲劇だけど、飛躍的な技術進歩の側面も併せ持っていることは、あまり知られていない。

例えば、第二次世界大戦時の対ドイツ戦のイギリス。

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その空軍パイロットは、戦闘機機内で空爆報告書を書くことが義務付けられていた。一方、重力と気圧の関係で、万年筆で書くとインクがその報告書に零れてしまう。そこで、パイロットのアイディアより、発明されたのがボールペン(英語では、Ball-point)。

また、ベトナム戦争時に米兵が異国の地で沢山亡くなった。

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その死体を棺に入れて、本国で埋葬しようとしても肝腎の輸送機内では、直ぐに腐敗が生じてしまう。そこで、開発されたのが冷凍・冷蔵の海上コンテナ(Reefer)。

大体、1本の40フィート・リーファーで、プラスチック・バックに収納した死体は、150~200体前後入る。

これは秘話でアメリカらしいのは、「カソリック」「プロテスタント」「その他(ユダヤ教・仏教・イスラム教等を含む)」の三分類にして、その冷凍・冷蔵コンテナを分けたとか。死体も宗教と密接に関係している。

なお、冷凍・冷蔵の設定温度は、マイナス10度以下が冷凍で、プラス10度以下が冷蔵。そして、大抵一日2~3回前後、船舶内の航海士が温度チャートを確認している。また、現在のスーパー・リーファーは、ファン(換気装置)が2つ装着されているので、マイナス30度前後の設定が可能。

最後は、私が直接関与した「コンドーム」。

これは湾岸戦争時、米軍の要請により日本製のコンドームが大量にアラブ諸国へ輸出された。

 

 

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もっとも、米兵や多国籍軍兵士が砂漠のサソリ捕獲やアダルトビデオ上映会の刎頸の友ではなく、戦車の砲丸口に砂ホコリを防止する為に付着した。

兎に角、極薄・極伸・軽量で破けないのが特徴だったとか。やっぱり、日本製が一番。

なお、コンドームをスラング辞典で調べると、こんな記述。

 

(rubber, rubber boots, night cap, shower cap, raincoat, hat, party hat, jimmy hat, joy-bag, French letter, French tickler, French purse, etc)

そして、今では古語になった「サボル」や「オンナとしけ込む」が(French leave)で「オンナを追う」や「フェラチオ」が(French connection)。

そう、大体フレンチが付くと、卑猥な表現が多いのが英米語。

あと日本のエロ本やアダルトビデオに近い表現が、(Swedish Erotica)。ウタマロやスケベは滅多に聞かない。

PRIDE AND EXTREME PREJUDICE
Chapter 1
May 1883

The Russian colonel stepped out of the shadow slowly and carefully, even though he had seen and recognized the signal. All meetings with his British controller were dangerous and to be avoided if possible. But this one he had asked for himself. He had things to say, to demand, that could not be put in a message in a dead-letter box. A loose sheet of metal on the roof of a shed down the railway line flapped and creaked in a puff of predawn May wind of that year, 1983. He turned, established the source of the noise, and stared again at the patch of darkness near the locomotive turntable.
“Sam?” he called softly.
Sam McCready had also been watching. He had been there for an hour in the darkness of the abandoned railway yard in the outer suburbs of East Berlin. He had seen, or rather heard, Russian arrive, and still had waited to ensure that no other feet were moving amidst* the dust and the rubble. However many times you did it, the knotted** ball in the base of the stomach never went away.

*amidst=amid 前置詞で「~の真っ最中に」「~の真ん中に」の意味。

口語表現は、(in the middle of)(in the thick of)。

**knot=結び目や結び紐ではなく、胃が極度のストレスで締め付けられること。

胃が締め付けられるは、(be in knots one’s stomach)(feel a knot in one’s stomach)

原書から転載すると、ファーサイスは作品をいつも「タイプライター」で綴っているのが判る。

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一方、もう一人のスパイ作家の重鎮であるル・カレはそのタイプではなく、「フェルトペン」で作品を綴っている。

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その理由は、絵画で例えると、広大な風景を巧みな「遠近法」で描写しているのがフォーサイスで、「人物像」の皺の数から輪郭までを繊細に描いているのがル・カレ。そんな感じがする。

日本の作家で例えると、フォーサイスが松本清張で、ル・カレが安倍公房。

 

 

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見捨てられ・寂れた(abandoned)鉄道停車場(railway yard)に蠢く二人の男(ロシア人の大佐とイギリス人のスパイ(恐らくアイルランド系。名前から判断)の情景が浮かんで来る。

その停車場には、スパイ用のメッセージボックス(a dead-letter box)が隠されている。

場所と時代は、ドイツ東ベルリンの郊外でベルリンの壁崩壊後から数年後。付近一帯を5月の風(日本の春風かも?)が吹いている。時刻は、深夜になる前の夜。

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この「誇りと極端な偏見」(Pride and Extreme Prejudice)作品の顛末は、ロシア人大佐が始めのうちは、ソビエトや東欧諸国に点在する東側軍事基地の正確なミサイル配置場所をイギリス人スパイに伝えていたけれど。ある時から、偽情報(Disinformation)をイギリス人に伝えることになる。

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そこで、イギリス側は一計を案じて、その偽情報を別のロシア人スパイに与えて、最終的にソビエト側を攪乱することを思い立つ。

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オチは、ロシア人のスパイ同士が疑心暗鬼になり、一人のロシア人が統一ドイツの西ベルリンにあるイギリス大使館に逃げ込み、亡命を申し込む。

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但し、面会を申し出た係員はそのロシア人スパイの上官だった。

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そう、実はイギリス大使館がソビエト大使館だった。

イギリス情報部の巧みな演出で、ベルリン支局長を一日ロシア人局長にした。

事実は小説より奇なり。最高の皮肉を提供。

次回は、「花嫁の持参金」(THE PRICE OF THE BRIDE)を。

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では、片目のダヤン

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以上

ダヤンさんでした。ありがとうございました。

 

猫の寝相

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