諜報機関と麻薬取引と地政学
諜報機関の予算について
日本人がしらない地政学が教えるこの国の針路
菅沼光弘(元公安調査第二部長)
P221
情報機関に勤めている人の給料とか工作資金はどこからくるか。日本は国の予算ですべてやっているから、私がいた公安調査庁は、調査活動費という目的で、協力者にお礼を指します。これは国の税金だから、そんなに大金が使えるわけではない。
しかし、諸外国の情報機関は、例えば、ひとつの国を国ごと買収するみたいなこともする。大統領を買収することもします。無限にカネがいるのです。
国を裏切ってください、と頼むわけですから、それなりの金額を用意しないといけないし、工作員となってくれた人や家族が亡命するとなると、また、お金がかかります。
ザックリまとめると、
アメリカ
・基軸通貨をいいことに、ドルを刷りまくっているので、楽勝楽勝。
・CIAの予算は、国防予算の中に埋没しており、公表されないので、楽勝楽勝。
・ついでに、こっそり、麻薬も武器も密売しているから、楽勝楽勝。
英国MI5
・国の税金をつかってしまうと、スパイ活動に足がつく。
・だから、タックス・ヘイブンなどをつかってマネー・ロンタリングをしている。
・なので、タックス・ヘイブンを潰されると死活問題になるので、最近のタックスヘブンつぶしの風潮は、ちょっと迷惑。
ロシア、ソ連
・KGB時代、予算なんてものはない。
・というか、ソ連のころもそのあとも、主要産業は諜報機関。ここを中心に動いている。
日本
・戦前は、予算がでないので、独自にアヘンの売買で稼いでいた。
日本人がしらない地政学が教えるこの国の針路
菅沼光弘(元公安調査第二部長)
P222~
何をやるかというと大陸では麻薬の取引です。戦前の日本の大陸での特務機関というのはいろいろありましたが、アヘンの取引をしていたのです。それに絡んでいたのは三井物産です。三井物産がイラクやインドからアヘンを輸入して、それを中国国内で売っていた。
そのお金が情報活動の資金になっていた。其の手先をやっていた、里見甫(さとみ はじめ)とか、いろいろ有名な人物がいる。彼らを主人公にした小説も沢山出ています。
だから、北朝鮮が麻薬の取引をやっているとか、よくいいますけど、そんなのどこの国の情報機関でも当たり前の話です。アメリカだったやっているのだから、武器の売買も。そのようなことをやって、みんな活動資金を出しているのです。
・戦後は、資金繰りが苦しい。オープンソースで頑張るしかない。
日本人がしらない地政学が教えるこの国の針路
菅沼光弘(元公安調査第二部長)
P223
だから、アメリカの公聴会の議事録をよみなさいと、いっているのは、そこなんです。日本は昔からお金がないのです。情報活動にお金をふんだんに使わせないのです。だから、せせこましいことになってしまう。
アメリカも、ロシアも、どこの国も、こっそり麻薬や武器の売買や、タックス ヘイブンを利用して資金を捻出しているようです。
そして、地政学
「日本人がしらない地政学が教えるこの国の針路」のテーマである、地政学、マルクス主義と同時期にできた学問みたいですね。
H.J.マッキンダー
地政学の開祖。英国の地理学者、政治家。
サー・ハルフォード・ジョン・マッキンダー(Sir Halford John Mackinder, 1861年2月15日 – 1947年3月6日)は、イギリスの地理学者、政治家である。ハートランド理論を提唱し、この概念は地政学の基礎的な理論付けとなった。事実上の現代地政学の開祖ともいえる。
「ブリテンとブリテンの海」は英国近代地理学の古典とされ、政治地理学者としての代表作「民主的理想と現実」はロシアを<ハートランド>として世界戦略を論じ、ドイツ地政学にも大きく影響を与えた。
ハートランド理論
ハートランドを支配するものが、ユーラシア大陸を支配し、ユーラシア大陸を支配するものが全地球の覇権を握る、と論じた。
ユーラシアを基点とした国際関係の力学を地理的に分析した
・世界は閉鎖された空間となった。
・人類の歴史はランドパワーとシーパワーの闘争の歴史である。
・これからはランドパワーの時代である。
・東欧を制するものは世界を制する。
海洋国家イギリスに生まれ育ちながらマッキンダーがランドパワー論者となったのは、大陸国家の勢力拡大への脅威から海洋国家イギリスを如何に守るかという戦略のあり方について研究の重きを置いたことによる。
これを、着実に研究し、現在の自国の国家戦略として展開しているのがアメリカ、だそうです。管理人は、アメリカは大陸国家だと思ってましたが、あれは巨大な島と分類されるみたいですね。
オカルターの大好物、ハウスホーファー博士の地政学学んだのが、戦前の我が国の軍部でした。
ハウスホーファーの地政学は、先行する地政学をまとめて再構築したもので、基本には国家についての考え方、「国家というのは有機体であり、国家がいきていくためには、動物と同じように縄狩りが必要」、ようは、縄張り=レーベンスラウム、を求めて領土を拡張しなくてはならない、という考え方で、ナチスが概念を広めたそうです。「満州は日本の生命線だ」これは、ハウスホーファーの理論そのものだそうな。
市民の素朴な疑問
しかしながら、一般市民として気になるんですが、もしこの地政学の理論が正しく、法則が働くのなら、なぜ、もともと<ハートランド>である東欧やロシアは一度も天下をとれないのでしょう。とくに、ロシアは、なぜ、昔からあんなに貧乏なのでしょう。
マルクス主義は、あくまで「労働者の理想をうたった抒情詩」にすぎなかったと思うんですが、マルクス主義と同時期に誕生した地政学も「夢とロマンのファンタジー物語のラノベ」であり、天動説のように「理論としては成立するが、でも間違ってた」ってことになりませんかね。大丈夫でしょうか。
日本はむかし、遣唐使を廃止しました。
理由は、①お金ないわ、②もう学んだし、③生還率4分の1ってのは危ないし、
ということで、空海が唐の留学から帰国したあと遣唐使廃止となり、その後、唐が滅亡しました。タイミングとしてはドンピシャです。
戦後、地政学は排除されましたが、ある意味、日本がもつ、本能が働いたのかな、、、、と、ちょっと気になるんですよね。