事故物件に住む仕事
なぜ平気なのか
知り合いにいわゆる事故物件にしか住まない男がいる。それがほとんど彼の仕事のようになっている。
どういうものかというと、死人が出たりして心理的瑕疵物件になった不動産に、不動産屋に頼まれて短期間住むのだ。心理的瑕疵物件は、間に人をはさむと告知義務がなくなるんだそうだ。
そんなわけで、彼は短期間事故物件に住み、別の事故物件に引っ越し……という一種のロンダリングをしている。家賃や引越し費用などは大家もち、そうなると固定費が浮くので、同時にもらえるちょっとした仕事で食えるという。
なかなかうらやましい話だが、そう話すと紹介はしないと断られてしまった
どうも彼の馴染みのある不動産屋をまとめると、ちょうど彼が生きていくだけの事故物件が供給されるような状況らしく「同業」は歓迎しないということだ。
そんな彼の話を聞けば、当然してみたい質問はひとつだろう。聞かれる方は飽きてそうだが。
「幽霊とかは出るの?」
彼は首を振る。
「一度も?」
「一度もないよ。臭いが残ってるとか、床のシミが気持ち悪いとかはあったけどね」
彼がけらけら笑い、いくらか詳しく説明をはじめ、私は声を抑えてくれと言った。私たちはファミレスにいたのだ。
まあ、ホラー映画みたいな恐怖体験を語られるとは思わないが、それにしてもだった。
「いちばん変わった体験といえば、あれだね。一時期、稼ぎどきがあって、引っ越しまくりだったんだけど」
「何それ?」
「繁忙期っていうか」
彼の説明によれば、彼の仕事はその性質上、事故物件が出ればそこに引っ越すことになる。当然、多く出れば引越しの回数も増えるわけだが……。
「あるマンションの中を引っ越し続けたことがあったんだよね。それも、ぜんぶ非常階段の近くでさ」
そう彼は言って、空中に図のようなものを描いた。それによると、彼はとあるマンションの中で複数の部屋を転々としたらしい、そして不気味なことに、それらの部屋は連結というか、すべて上下に隣接していたのだという。
つまり、上から見ると、まるで柱でも貫通させたように、ある直線上の部屋だけ住人が死んだのだという。それも、下から。
「夜にそのマンション見るとさ、ほら、窓が並んでるじゃん、ある縦一列だけ明かりがないんだよね」
あれはちょっと嫌だったかもな、と彼は言う。
「なんでそんなことが起きるのかな?」
「知らん。偶然じゃね? 偶然同じ数字が並ぶとか、あるじゃん」
そう言ってから、彼は少し黙り、ぽつりと言った。
「なんかが下から上がってったのかな……」
そうかもしれない。見えない何かが、それも致死的なものが、その空間を移動したのかもしれない。
一方で私は、先ほどの彼の説明から、違うものを想像していた。
「ビンゴゲームみたいだな」
「はあ?」
「マンションの明かりが、住人が死んで一列に消えてったんでしょ。ビンゴゲームだなあって」
「うわ」
私の発言に彼は嫌な顔をした。
「そんな嫌なこと言うやつは初めてだ」
私は気をよくした
なんにせよ、彼は、まあ仮に名を凍田としておこう。凍田はまた引っ越すという。彼は生活用品の多くをキャンプ用のものにしているから、引っ越しも簡単だ。
彼のような特殊な生活の人はそれなりにいるらしいが、多くはそんなに長く続かないという。そういう意味で彼はけっこう特殊なのだ。
そして前述のとおり、怪異とはまったく無縁な凍田だが、それについて私はこう思っている。
彼はビンゴゲームでいうと、真ん中のマスなのだ。最初から穴が空いたマスなのだ。
だから怪異が来るならむしろ彼の隣人たちだろうなと。
以上
🌸صہیب حمید🌸@SoHaiB___0
これ俺もやりたかったけど法改正で別の入居者挟んでも告知義務が消えなくなったのでもうこの仕事は無いらしい。….
ੈ ᴰᴬᴿᴱᴱᴺ@SDDi_
まあ、現場から言うと、そういう職業は無いです。何故かって、家賃減額して理由を開示すれば、あっという間に普通にその部屋に住む人がいるから。人間ってそんなもんよ。あと、人を挟むと告知義務がなくなる等は、今のとこ明確な線引きがない。話題の変な間取りとかも・・・・おや誰か来たようだ。
M@denchi2otoko
元銀座のトップなママさん、今は不動産のオーナーは良くやってた。安く事故物件を仕入れて知り合いに3か月ちょい貸す。
別に住まなくても良し。そして賃貸に。ペーパーだけで良し。
以上
関係ない話
スーモの人形16体盗んだ人いたのまだ面白い