民主党の変容
貧しい白人のための党→労働者、黒人、女性の党
アメリカの選挙では毎回、投票者の居住域、性別、年齢、収入、学歴、その他の要素で投票者の傾向分析をしています。僕はCNNの出口調査による分析を貼り付けました。どんな人が誰に投票したのか分析することは必要なことですよ。
その分析で見えてくるのは民主党が低学歴や低収入の有権者の支持を失ったという事実。民主党は貧しく大学を出てないアンドリュー・ジャクソンが貧しい白人のための党として設立したが、守る対象を労働者、黒人、女性と拡大するうちに皮肉にもエリート化し、貧しい白人男性を取りこぼしていった。
貧しい白人の党だった民主党は弱者救済を拡大して1960年代には南部の黒人に参政権を認めた。そのため南北戦争前からずっと民主党を支持してきた南部の白人は民主党に幻滅した。それを共和党のニクソンは自分の支持層に取り込んだ。これを「ニクソンの南部戦略」と呼ぶ。
貧しい白人の党として生まれた民主党は南部の奴隷制度を守ろうとした。これに対してリンカーンが立ち上げたのが共和党。ところが60年代の民主党が黒人に参政権を認め、怒った南部白人を共和党のニクソンが取り込んだことで、民主党と共和党の立ち位置がごっそり入れ替わった。
そのニクソンのブレーンだったロジャー・ストーンやロイ・コーンがトランプの政治的な師匠。だからニクソンが低収入の白人を呼ぶ時に使った言葉「サイレント・マジョリティ」をトランプはそのまま継承している。
ニクソンが始めた共和党の白人ブルーカラー取り込みを完成させたのはロナルド・レーガン。彼はウェルフェア・クイーン(働きもせずに福祉に頼って暮らす最貧困の黒人)という架空の敵を標的にして貧しい白人の不満と怒りを煽った。この戦略をトランプは標的を「猫を食う不法移民」に替えて使っている。
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トマ・ピケティ「欧米の左派政党は庶民ではなく、もはや高学歴者のための政党となった」
2021年5月
左派政党から庶民が離れたのは、左派政党の責任だ
左派政党を支持するのは庶民から高学歴者になった
フランスで刊行された『政治の亀裂と社会の不平等』(未邦訳)は、非常に重要な研究をまとめたものだ。50人ほどの国際的な研究チームが、有権者の投票行動が、所得、資産、学歴、民族的出自、宗教に応じて、どう変化するのかを調査したのだ。本調査の対象期間は1948~2020年と非常に長く、調査対象の民主主義国も50程度と非常に規模が大きい。このテーマに関してこれほど体系的、包括的に行われた調査は過去にない。
※https://courrier.jp/news/archives/243521/
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階層の分断→階層の中でさらに二分化
1950~80年、西側の民主主義国の大半では、庶民階級が社会民主主義の政党に投票し、「ブルジョワ」階級が保守政党に投票していました。
1980~2020年、社会的に恵まれた階級と庶民階級の双方で分裂が起きた。
社会的に恵まれた階級の分裂
A:所得が最も高い層→右派政党を支持し続けた
B:学歴が最も高い層→左派政党を支持(バラモン左翼)
それがこれなのかな。
関係ない話
音楽がわかる犬
Dog enjoying the music.. 😊 pic.twitter.com/xA7M7SCVVh
— Buitengebieden (@buitengebieden) November 7, 2024
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